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韓国籍の方の相続について(その5:相続放棄)

韓国籍の方の相続について(その5:相続放棄)

播磨町(土山)の司法書士 北谷です。

韓国籍の方の相続シリーズの5回目、今回は相続放棄についてまとめておきます。

おさらいになりますが、被相続人が韓国籍の方の相続については、韓国民法が適用されます(法の適用に関する通則法36条)。


■規定

韓国民法にも相続放棄の規定があります。
また、日本の民法と同じく、相続放棄(限定承認も)が出来る期間(熟慮期間)が定められています。

(韓国民法1019条1項)
相続人は、相続の開始があったことを知った時から3か月以内に単純承認若しくは限定承認または相続放棄をすることができる。ただし、その期間は、利害関係人または検事の請求によって、家庭裁判所がこれを伸長することができる。

(韓国民法1041条)
相続人が相続放棄をするには、第1091条第1項の期間内に家庭裁判所に放棄の申述をしなければならない。

実務上問題となるのが、熟慮期間(3か月)を経過した場合の相続放棄の可否(熟慮期間経過後の被相続人の債務の発覚)ですが、韓国大法院は日本の最高裁より厳格に判断しています。

熟慮期間の起算点につき、日本の判例では、相当な理由がある場合には、「相続人が相続財産の全部または一部の存在を認識した時または認識し得るべき時(昭和59年4月27日判例)」としていますが、韓国の判例においては、「相続債務の存在を知らなければ熟慮期間が進行しないものではない(大判1991年6月11日凡例)」としています。

ただし、韓国民法には、上記のようなケースの場合に、その事実を知った日から3か月以内に限定承認をすることができる規定があります。

(韓国民法1019条3項)
第1項の規定(3か月の熟慮期間)にかかわらず、相続人が、相続債務が相続財産を超過する事実を重大な過失なくして第1項の期間内に知ることができず、単純承認をした場合には、その事実を知った日から3か月以内に限定承認をすることができる。


■手続

韓国の相続放棄も家庭裁判所へ申告する必要があります。

(韓国民法1041条)
相続人が相続放棄をするには、第1019条第1項の期間内に家庭裁判所に放棄の申告をしなければならない。

では、日本と韓国のどちらの家庭裁判所へ相続放棄の手続きをすべきかですが、相続財産の存在する国の家庭裁判所で手続きすればよいと考えられています。
次に、どの国の方式により手続きをすべきかですが、手続きをする国の法律に適合する方式は有効とされます。

法の適用に関する通則法(法律行為の方式)
10条  法律行為の方式は、当該法律行為の成立について適用すべき法(当該法律行為の後に前条の規定による変更がされた場合にあっては、その変更前の法)による。
2 前項の規定にかかわらず、行為地法に適合する方式は、有効とする。

したがって、相続財産が日本にある韓国籍の方(日本在住)が被相続人の相続については、日本の家庭裁判所で日本の方式によって手続きをすれば良いということになります。
ただし、日本における相続放棄の効力が韓国まで及ぶことは無いと考えられますので注意が必要です。

韓国に相続債務が存在するような場合は、韓国の家庭裁判所に対し、韓国民法にしたがって手続きをしなければならないこととなります。


■効果

日本の相続放棄の効果とほとんど同じと考えて良いと思います。

相続放棄の効力は相続開始時に遡って生じ、相続放棄をした者ははじめから相続人ではなかった扱いとなる。
相続放棄は代襲原因にならない。

ただし、日本の方が亡くなった場合に子全員が相続放棄をした場合には、相続順位が第2順位(直系卑属)へうつりますが、韓国籍の方が亡くなった場合に子全員が相続放棄した場合には、被相続人の孫が相続人となることには注意が必要です。韓国民法で定める第1順位の法定相続人は、「直系卑属」であるためです。


次回は遺言についてまとめる予定です。

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