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韓国籍の方の相続について(その1:準拠法)

韓国籍の方の相続について(その1:準拠法)

播磨町(土山)の司法書士 北谷です。

今回のテーマは相続から。日本在住の韓国籍の方の相続についてです。

分量がすごく多くなると思いますので、(勝手に)シリーズ化します。
また、投稿は連続ではなく、断続的に続けて行きたいと思います。
もしこのテーマに関する僕のブログを楽しみにしている人がいれば(期待薄)、更新をもやもやしながら待つか、ご自身で調べてください。

なお、正式な国名は「大韓民国」ですが、「韓国」と表記させていただくこととします。

記念すべき第1回は、「準拠法」についてです。

日本在住の韓国籍の方が亡くなった場合、日本の法律と韓国の法律のどちらが適用されるかという問題です。

これについては、「法の適用に関する通則法」(日本の法律)に条文があります。

(相続)
第36条 相続は、被相続人の本国法による。

しかし、この条文だけで判断できません。同法に次の条文もあるからです。

(反致)
第41条 当事者の本国法によるべき場合において、その国の法に従えば日本法によるべきときは、日本法による。(以下略)

したがって、韓国の法律も調べる必要があります。

大韓民国国際私法
(相続)
第49条1項 相続は、死亡当時の被相続人の本国法による。

これで、韓国法が適用されることが確定… とはなりません。

それは、次の条文があるからです。

大韓民国国際私法
(相続)
第49条2項 被相続人が遺言に適用される方式により、明示的に次の各号の法律のいずれかを指定するときは、相続は、第1項の規定にかかわらず、その法による。
1.指定当時の被相続人の常居所がある国家の法。ただし、その指定は、被相続人が死亡時までその国家に常居所を維持した場合に限り、その効力がある。
2.不動産に関する相続に対しては、その不動産の所在地法

長々とやってきましたが、結論としては、

①遺言(準拠法を日本法と指定)があれば、日本の法律
②遺言が無ければ韓国の法律

ということになります。

これでメデタシメデタシとしたいところですが、まだ悩ましい問題があります。

それは、住民票や外国人登録の国籍欄に、「韓国」ではなく、「朝鮮」と記載された方がいらっしゃるということです。

この場合はどうなるのでしょうか?

諸説あるものの、判例・学説では「当事者に最も密接な関係がある国家の法律を適用する」というのが主流です。
実務上の扱いは、「当事者が、『韓国人でない』と主張しないかぎり、原則として韓国法を適用する」こととなっているようです。
注意すべき点として、「朝鮮」という記載は「朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)」を指していません。日本と韓国の歴史的経緯によって作出された、便宜上の記載ということになります。

また、韓国の相続法の改正にも注意する必要があります。被相続人の亡くなった日によって、次の4つが適用されることとなります。

・1991年1月1日以降~現在まで:現行民法
・1979年1月1日以降~1990年12月31日まで:旧民法
・1960年1月1日以降~1978年12月31日まで:旧々民法
・1912年4月1日以降~1959年12月31日まで:韓国の従来からの慣習

ただ、次回以降の内容については、特に断らない限り、現行民法に基づくものとします。

それでは、次回以降をお楽しみに。

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